料理の基本 スキル編
より美しく、切り口が綺麗になるように、食材が傷まないように、食感が良くなるように、火の通りが均等になるように。。。料理をおいしく仕上げるためには、研いだ切れ味の鋭い包丁を正しく扱うことや、食材の切り方、食材の下準備を丁寧に行い、適した調理を施すことが大事です。それぞれ食材ごとの技法を、プロであるシェフに、特別に教えていただきました。
包丁の持ち方・研ぎ方
食材に合わせた包丁の持ち方や、一般的な両刃タイプの包丁の研ぎ方をご紹介します。
包丁の持ち方
包丁は、切るものや用途にあわせた握り方をすると、包丁の性能をいかして食材をきれいに切ることができます。正しい握り方で、正確に効率よく力を伝えて切れば、仕上がりがきれいになるだけでなく、長時間の作業でも疲れにくいという利点もあります。
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【一般的な握り方】力が入りやすく、包丁を扱いやすい持ち方。人差し指に包丁の刃元をのせ、自然に3本の指で柄元を握る。
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親指は、挟むように反対側の包丁の刃元を支える。
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反対側。人差し指は軽く曲げた状態。柄元を握る3本指は固定。親指と人差し指は切るものによって支える場所を微調整し、バランスをとる。
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【指差し】正確に繊細なものを切るとき、人差し指を支えにする。柄元を握る3 本指は固定。人差し指包丁の峰に置く。親指は包丁の刃元を支える。
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【柄を握る】かたいものを切るとき、5本の指で柄を握ると力を入れやすい。
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【例:ささがき】刃を外側に向けるときは、人差し指を刃元の腹にたてて固定し、バランスをとると良い。姿勢はまな板に対して斜め45度。
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【例:かつらむき】包丁を立てる角度も、斜め45度が切りやすく疲れにくい姿勢。
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【例:皮をむく】かたい皮をむくときは、包丁を持つ手の親指を使う。皮をたぐり切り進め、切り取る厚みのバランスもとる。
監修:鈴木邦昌シェフ
包丁の研ぎ方
包丁の切れ味は、見た目の美しさだけでなく、口当たり、煮え方と、料理そのものに大きく影響するので、大変重要です。包丁の研ぎ直しを専門店に依頼することもお勧めです。ここでは、家庭で一般的に使われることの多い両刃タイプの包丁を、ご自身で研ぎ石(中研石)を使って研ぐ場合の基本を中心にお教えします。
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【裏面】研ぎ石は約30分水に浸し、十分水を含ませておく。気泡が出なくなるまでが目安。刃先を外に向け、45度の角度で研ぎ石に置く。
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支える手の指で刃先の腹を押さえ、包丁の刃先の面が研ぎ石に当たるように包丁を持つ手を少し持ち上げ、ほんのわずかの角度をつける。
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斜め上下に滑らせて動かし、まず包丁の刃先を研ぐ。
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支える手の指を置いた部分しか研げないので、次に研いだ場所の少し下を研ぎ石の上に置き、支える手の指でその上を押さえる。
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研ぐ部分の面が研ぎ石に当たるように包丁を持つ手を少し持ち上げ、包丁にわずかな角度をつけて、斜め上下に滑らせる。
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最後に包丁の刃元を同様に研ぐ。このように、刃渡りの長さに応じ、数ヶ所に分けて少しずつ下へ研ぎ進める。
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【表面】ひっくり返し、今度は反対の、表面へ。刃元から研ぎ石の上におき、支える手の指で刃元の腹を押さえる。
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包丁の刃元の面が研ぎ石に当たるように包丁を持つ手を少し持ち上げ、包丁に少し角度をつけて、斜め上下に滑らせる。
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表面の角度は、十円玉が1枚入るくらいが目安。裏と比べて表には自然に角度がつく感覚。(研ぐ包丁の刃先の角度に合わせること)
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包丁の中央部、刃先へと、徐々に上へ研ぎ進めれば完了。
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【仕上げ研ぎ石】中研石で研げば概ね十分ですが、さらに仕上げ研石で研ぐと、刃が丈夫になる。
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【片刃包丁の場合】傾斜が片方なので、表側の刃の傾斜に研ぎ石をあわせ、表のみを研ぐ。研いだ部分を触るとひっかかり(かえり)が出ているので、裏面は、このかえりをならす程度だけ研いで整えれば完了。
監修:鈴木邦昌シェフ