料理の基本 スキル編

より美しく、切り口が綺麗になるように、食材が傷まないように、食感が良くなるように、火の通りが均等になるように。。。料理をおいしく仕上げるためには、研いだ切れ味の鋭い包丁を正しく扱うことや、食材の切り方、食材の下準備を丁寧に行い、適した調理を施すことが大事です。それぞれ食材ごとの技法を、プロであるシェフに、特別に教えていただきました。

魚介類の下準備

丸ごとの魚介をどうさばくか、食べられない部分はどう取り除くか、などをご紹介します。

いか 下処理・格子切り

いか 下処理・格子切り

まず胴から内臓と軟骨を引き抜き、胴、エンペラ、ゲソ、内臓に分けます。皮と身の間に水分があるので、揚げ物の時は油跳ね防止に皮をむきましょう。噛みやすくするためには格子切りが有効です。単に十字に切り目を入れるのではなく、斜めに包丁を入れた後おこすように切ると、よりやわらかく仕上げることができます。

いかは「やりいか」が皮がむきやすく、お勧めです。

  1. 胴に手を突っ込み、胴と内臓のつなぎ目をぐるりと剥がす。剥がれたら、胴と足のつけ根をそれぞれの手で持つ。

    胴に手を突っ込み、胴と内臓のつなぎ目をぐるりと剥がす。剥がれたら、胴と足のつけ根をそれぞれの手で持つ。

  2. わたを破らないように気をつけながら、ゆっくりと足とわたを胴から引き抜く。

    わたを破らないように気をつけながら、ゆっくりと足とわたを胴から引き抜く。

  3. 胴についている透明な軟骨を引き抜く。胴に残っている内臓を取り出し、塩入りの氷水できれいに洗う。

    胴についている透明な軟骨を引き抜く。胴に残っている内臓を取り出し、塩入りの氷水できれいに洗う。

  4. エンペラと胴がつながっている部分に指を入れ、エンペラを引っ張り胴から剥がす。

    エンペラと胴がつながっている部分に指を入れ、エンペラを引っ張り胴から剥がす。

  5. エンペラを剥がした場所をとっかかりに、いかの先端の皮を左右横方向にくるりとむく。

    エンペラを剥がした場所をとっかかりに、いかの先端の皮を左右横方向にくるりとむく。

  6. 片手で胴の上部を押さえ、もう片方の手で皮をゆっくりと引っ張り、一気にむく。

    片手で胴の上部を押さえ、もう片方の手で皮をゆっくりと引っ張り、一気にむく。

  7. 胴を開く。包丁の切っ先で胴の下部に切り目を入れ、縦一本切り目を入れて開く。

    胴を開く。包丁の切っ先で胴の下部に切り目を入れ、縦一本切り目を入れて開く。

  8. 包丁を垂直に立て、胴の内部の表面を軽くけずり落としてきれいにする。

    包丁を垂直に立て、胴の内部の表面を軽くけずり落としてきれいにする。

  9. 【いかの格子切り】等間隔に、斜めに包丁を入れる。半回転させて同様に切るが、斜めに入れた刃を最後におこすようにし、切る面積を多くする。

    【いかの格子切り】等間隔に、斜めに包丁を入れる。半回転させて同様に切るが、斜めに入れた刃を最後におこすようにし、切る面積を多くする。

  10. 【エンペラ】皮の端をとっかかりに皮をつまみ、むく。タオルやキッチンペーパーを使うと滑らず、むきやすい。

    【エンペラ】皮の端をとっかかりに皮をつまみ、むく。タオルやキッチンペーパーを使うと滑らず、むきやすい。

  11. 目の下に包丁を入れ、内臓と足を切り離す。

    目の下に包丁を入れ、内臓と足を切り離す。

  12. 足をつまみ、くちばしを手で搾り出すようにしてはずす。片方の手で足をつまみ、もう片方の手を滑らせながら、吸盤のかたい部分を取りのぞく。

    足をつまみ、くちばしを手で搾り出すようにしてはずす。片方の手で足をつまみ、もう片方の手を滑らせながら、吸盤のかたい部分を取りのぞく。

  13. 目の上にある、細長く白くコリコリした部分は美味しいので、捨てずに食べましょう。

    目の上にある、細長く白くコリコリした部分は美味しいので、捨てずに食べましょう。

監修:岩元学シェフ

いか 下処理・格子切りの実践レシピ

えび 背わた・尾の下処理

えび 背わた・尾の下処理

えびは加熱すると丸まるので、調理によって下処理を変えます。今回は殻付きでまっすぐに調理する方法、エビフライ用、むきえび の3種類のご紹介です。

まず背わたの取り方と尾を残す場合の尾の下処理について。背わたは、臭みの原因となるので必ず取ります。尾は、水のたまりやすい部分をカットし、油跳ねを防止します。

  1. 【背わた】えびを曲げて持つ。頭側から2節目に爪楊枝を刺し、背中にある黒い線(背わた)をひっかけて引っ張る。

    【背わた】えびを曲げて持つ。頭側から2節目に爪楊枝を刺し、背中にある黒い線(背わた)をひっかけて引っ張る。

  2. 切れないようにゆっくりと引き出す。このくらいの長さが取れる。

    切れないようにゆっくりと引き出す。このくらいの長さが取れる。

  3. 【尾の下処理】剣先(2つの尾扇の間にある尖った部分)を切り落とす。

    【尾の下処理】剣先(2つの尾扇の間にある尖った部分)を切り落とす。

  4. 2つ折りにし、尾扇の先を斜めに切り落とす。尾を潰すように押し、中に溜まった水を出す。

    2つ折りにし、尾扇の先を斜めに切り落とす。尾を潰すように押し、中に溜まった水を出す。

  5. 尾扇を開いて、尾の先の形を整える。

    尾扇を開いて、尾の先の形を整える。

監修:岩元学シェフ

えび 背わた・尾の下処理の実践レシピ

えび 殻付き・串打ち

えび 殻付き・串打ち

バーベキューなど、殻付きでまっすぐに調理する場合は、串を打ちます。そうすることで、加熱したときに熱で丸まるのを防ぐことができます。

串は尾から背中部分を通します。

  1. 背わたを取った後、背をまっすぐにし筋をのばし、背中を手のひら側に、尾を小指の方向に持つ。竹串を尾扇の中心から刺し込む。

    背わたを取った後、背をまっすぐにし筋をのばし、背中を手のひら側に、尾を小指の方向に持つ。竹串を尾扇の中心から刺し込む。

  2. えびの背中の殻に沿って、できるだけ身を傷つけないよう、まっすぐに、頭部まで刺す。

    えびの背中の殻に沿って、できるだけ身を傷つけないよう、まっすぐに、頭部まで刺す。

監修:岩元学シェフ

えび エビフライ用

えび エビフライ用

殻をむき衣をつけ油で揚げる際に、えびが丸まらずまっすぐな状態に仕上げるための下処理です。

尾を残し、それ以外の殻をむいたら、えびの腹側にある筋を切ってのばします。

  1. 背わたを取った後、両手の指で頭の付け根を持ち、頭部をもぎ取る。尾の下処理をする。

    背わたを取った後、両手の指で頭の付け根を持ち、頭部をもぎ取る。尾の下処理をする。

  2. 腹を上にして尾をつかみ固定する。もう片方の指で脚を尾からこそぐように取り除く。尾から1節分は残し、他の殻を全てむく。

    腹を上にして尾をつかみ固定する。もう片方の指で脚を尾からこそぐように取り除く。尾から1節分は残し、他の殻を全てむく。

  3. 腹側から数箇所、斜めに切り込みを入れる。のばして突っ張る部分は、横から筋を切ると、まっすぐのばせる。

    腹側から数箇所、斜めに切り込みを入れる。のばして突っ張る部分は、横から筋を切ると、まっすぐのばせる。

監修:岩元学シェフ

えび エビフライ用の実践レシピ

えび むき身

えび むき身

むき身で調理する場合は、まず殻を全部取り除いたあと、背わたを取ります。尾のぎりぎりまで身があるので、尾の部分の殻はゆっくりとやさしくむきましょう。

  1. 殻をむいたら、背側を手前にし、背全体に、中心に浅く包丁で切り込みを入れる。

    殻をむいたら、背側を手前にし、背全体に、中心に浅く包丁で切り込みを入れる。

  2. 包丁の切っ先で背わたをひっかき、取り除く。

    包丁の切っ先で背わたをひっかき、取り除く。

監修:岩元学シェフ

えび むき身の実践レシピ

帆立 下処理

帆立 下処理

一般的に、ほたて貝の食べられる箇所は「貝柱」「ひも」「生殖巣」(オレンジ=メスの卵、白=オスの白子)で、食べられない箇所は「ウロ」と呼ばれる黒い部分と「エラ」といわれています。ここでは、貝殻からはずし、貝柱とひもに分ける方法をご紹介します。

  1. 貝殻の平坦な面(裏側)を手のひらにのせる。ふくらみのある面が上の状態。

    貝殻の平坦な面(裏側)を手のひらにのせる。ふくらみのある面が上の状態。

  2. 貝殻にヘラを差し込み、貝を広げて開く。貝上部にヘラを入れ、小刻みにナイフを動かしながら繋がっている部分をはがす。

    貝殻にヘラを差し込み、貝を広げて開く。貝上部にヘラを入れ、小刻みにナイフを動かしながら繋がっている部分をはがす。

  3. 上部の貝殻を外す。下部の貝殻と身の間にヘラを入れ、小刻みにナイフを動かしながら繋がっている部分を完全にはがす。

    上部の貝殻を外す。下部の貝殻と身の間にヘラを入れ、小刻みにナイフを動かしながら繋がっている部分を完全にはがす。

  4. 貝柱とひもの間に指を入れ、ひもを貝柱から取り外す。

    貝柱とひもの間に指を入れ、ひもを貝柱から取り外す。

  5. 次に黒いウロ(中腸線)、エラ、卵巣(オレンジ)や白子(白)を貝柱から取り外す。

    次に黒いウロ(中腸線)、エラ、卵巣(オレンジ)や白子(白)を貝柱から取り外す。

  6. 右がひも、中央が貝柱、左がウロ(黒い部分)とエラ。左のウロとエラは食べられません。

    右がひも、中央が貝柱、左がウロ(黒い部分)とエラ。左のウロとエラは食べられません。

  7. 塩入りの氷水で貝やひもをよく洗いヌメリをとる。

    塩入りの氷水で貝やひもをよく洗いヌメリをとる。

監修:岩元学シェフ

帆立 下処理の実践レシピ

ムール貝 下処理

ムール貝 下処理

ムール貝は鮮度が命。新鮮なものを用意しましょう。

まず貝殻の表面に付いている汚れをタワシ等で丁寧に落とします。次に貝の中にあるヒゲ(足糸)は、食べたときに口に残るので、取り除きます。ヒゲを無理にひっぱると途中で切れてしまうので、上下にスライドさせながら少しずつ引き抜くとうまくいきます。

  1. 貝の表面の汚れを、鍋底用タワシ等でこすり、付着物をきれいに掃除する。

    貝の表面の汚れを、鍋底用タワシ等でこすり、付着物をきれいに掃除する。

  2. 片手で貝をつまんで固定し、もう片方の手でヒゲをつまみ、上にスライドさせる。

    片手で貝をつまんで固定し、もう片方の手でヒゲをつまみ、上にスライドさせる。

  3. 次に、下にスライドさせる。

    次に、下にスライドさせる。

  4. 数回上下にスライドさせて少しずつ引くようにすると、根元からヒゲが抜ける。(真っ直ぐに引っ張ると途中で切れてしまう)

    数回上下にスライドさせて少しずつ引くようにすると、根元からヒゲが抜ける。(真っ直ぐに引っ張ると途中で切れてしまう)

監修:原田延彰シェフ

ムール貝 下処理の実践レシピ

柵のそぎ切りの仕方

柵のそぎ切りの仕方

刺身は、空気に触れるほど劣化するので、食べる直前に切るのが一番美味しい方法です。

今回は、鯛と鮪のそぎ切りの仕方をご紹介します。

魚からさばいた場合は、しっぽ側を切り始めとします。柵(ブロック)の場合は、筋目が正しい柵を選んで購入しましょう。切れ味の良い包丁を使うことも美味しさのポイントです。

  1. 【鯛】 人差し指を伸ばしミネに当てるように包丁を持つ。柵のしっぽ側を切り始めとして左に置く。切り口が斜めになるように先端を切り落とす。

    【鯛】 人差し指を伸ばしミネに当てるように包丁を持つ。柵のしっぽ側を切り始めとして左に置く。切り口が斜めになるように先端を切り落とす。

  2. 左手を柵の切り口の上に添える。包丁は根元から始まり包丁の全体を使うように滑らせ、斜めに、なるべく一回で切りつける。

    左手を柵の切り口の上に添える。包丁は根元から始まり包丁の全体を使うように滑らせ、斜めに、なるべく一回で切りつける。

  3. 適度な厚みを保つように包丁を入れ、均等の大きさになるように斜めに切り揃える。

    適度な厚みを保つように包丁を入れ、均等の大きさになるように斜めに切り揃える。

  4. 【鮪】柵は、切る時に包丁が筋に対して垂直に入るものを選んで購入する。まず切り口が斜めになるように先端を切り落とす。

    【鮪】柵は、切る時に包丁が筋に対して垂直に入るものを選んで購入する。まず切り口が斜めになるように先端を切り落とす。

  5. 左手を柵の切り口の上に添える。包丁は根元から始まり包丁の全体を使うように滑らせ、斜めに、なるべく一回で切りつける。

    左手を柵の切り口の上に添える。包丁は根元から始まり包丁の全体を使うように滑らせ、斜めに、なるべく一回で切りつける。

  6. 適度な厚みを保つように包丁を入れ、均等の大きさになるように斜めに切り揃える。

    適度な厚みを保つように包丁を入れ、均等の大きさになるように斜めに切り揃える。

監修:戸川基成シェフ

柵のそぎ切りの仕方の実践レシピ

鯵の二枚おろし

鯵の二枚おろし

鯵の二枚おろしから下処理までの方法を、詳しくご紹介します。

ぜいご→ウロコ→頭の順で切り、内臓を取り出し、背中から開いていきます。

最後に下処理として塩をふり魚を熟成させると、塩の浸透圧で臭みが取れておいしくなり、保存性も高まります。

監修:戸川基成シェフ

鯵の二枚おろしの実践レシピ

鰯の三枚おろし

鰯の三枚おろし

鰯の三枚おろしを詳しくご紹介します。

ウロコ→頭を落とし、内臓を取り出し、背中から開いて身と骨を切り離します。

つみれや刺身向けに、皮を上手にとる方法も覚えておきましょう。

監修:田中勝シェフ

鰯の三枚おろしの実践レシピ

金目鯛の三枚おろし

金目鯛の三枚おろし

金目鯛など、大きめの魚のおろし方をご紹介します。

魚の身を切る際は包丁の刃を大きく動かし、根元から刃先まで包丁の全体を使うように滑らせ、なるべく引く回数を減らしましょう。

ウロコ→頭を落とし、内臓を取り出し、背中から開いて身と骨を切り離します。魚の大きさが違っても、おろし方の基本は変わりません。

監修:辻昌也シェフ

金目鯛の三枚おろしの実践レシピ

秋刀魚の大名卸し(三枚おろし)

秋刀魚の大名卸し(三枚おろし)

魚の三枚おろしの一種。秋刀魚・きす・さよりなど、小さめで細長い魚や身割れしやすい魚をおろす方法です。頭を落としたあと、片側1回の包丁で中骨から身を切り離します。

骨に身が多くついたままの贅沢なおろし方になることから「大名おろし」といわれるようになったそうです。

監修:木村巧シェフ

秋刀魚の大名卸し(三枚おろし)の実践レシピ